サーティーンワンアタック

今年に入り何度あきらめてきただろうか。アイスクリームショップサーティーワンへの単独突撃。
学校帰りの解放感と共にそいつは現れるんだ。
気さくに、しかし不快な暑苦しさはなく、あくまで涼しげな振る舞いで僕を誘う。
「よう。帰りだろ?たまには寄れよ」
そんな言葉が聞こえるようでいつもふらふらと店の前まで行くものの、きまって中には先客がいて、彼らは一様に「え、アンタまさか入るの?」といった顔で僕を追い返す。
31回は大袈裟にしろ13回は断念しているだろう。
ロッキーロードとナッツトゥーユーが食べたい。


店がね、乗換え駅の駅前にあるんだ。嫌でも目に入ってくる。去年はわりとコンスタントに通えて、チャレンジザトリプルなんかにも挑んでた。ダブルを頼むともう一個アイスを乗っけてくれるってキャンペーンね。あれは最高にアメリカンだった(褒め言葉)。お陰様で腹の肉もトリプルになり大変だったのなんのってHAHAHA!!


あれは去年の夏のことだった。ある日、ぼくはいつものように授業をサボりチャレンジザトリプルしていたんだ。
もちろん容器はシュガーコーン。紙カップなんて絶対選ばないぜ。夢がないからな。
涼しい店内、お姉さん3人の優しい接客スマイル、色とりどりのアイスクリーム、幸せな時間だった。
しかしそれも永くは続かない。
人生の喜びはアイスクリームと一緒なんだ。味わうには短く、口にすれば瞬く間に消えてしまう。
モリモリに積まれ、俺に食われるのを今や遅しと待ち構えるトリプルちゃん。カウンターで彼女をもらった次の瞬間だった。
「すっげぇぇ!!」
むんとした外気とともに現れた夏の申し子と言わんばかりのガキ。俺のトリプルアイスをみて瞳を輝かせている。
一緒にいた若奥さんも「ねー、お兄さんすごいねー」なんて言いながら微笑みをたたえてる。
な、なまら恥ずかしいっぺ!!!
俺の顔はみるみる真っ青。奥さんの「すごいねー」が頭の中で「むさい野郎が恥ずかしげもなくトリプル。すごいねーwwww」と変換され震え上がった。ウンコ漏らしそうだった(・ω・)
それからですよ。僕がサーティーワンにいけなくなったのは。

今日も呪縛に打ち克とうと、店の前まで行ったものの、キャッキャやってる大学生たちをみたらウンコ漏らしそうになり断念。
果たして僕がサーティーワンに入れる日はやってくるのか。
オチがなくても人生はつづくんだぜ。