僕が好きな瞬間

今日は両親の結婚記念日だったようです。
2人が眠った後に帰宅した僕は、真っ暗なリビングで煌々と光る東京タワーと、真っ赤なばらの花束でその事を知りました。

両親は東京タワーで式を挙げたのです。
だから記念日の3月2日には毎年タワーの模型を出してきて、一晩中それに電気をつけておく。
夕飯では、式で流した音楽を流し、お祝い事があるときに二人で飲もうと決めたシェリー酒を酌み交わす。
アホみたいにキザなことをやるんです。ウチの親は。


でも僕は、一年に一度、東京タワーがやさしく光るこの部屋に帰ってくる瞬間がたまらなく好きだったりします。
ばらの花の香りも、ティオペペの空き瓶も。


昔々魔法にかかった王子様とお姫様は今じゃすっかりハゲとデブですが、
願わくば僕もこういうハゲになって最愛のデブを迎えたいものです。